「自分に自信を持ちたい」
と思い、ネットで検索したり本を読んだりしていると必ず出てくる“根拠のない自信”という言葉。
『“根拠のある自信”では、根拠となる何かが失われたときに崩れてしまうけれど、“根拠のない自信”なら何があっても揺るがない。だから根拠のない自信を目指しましょう!』
みたいな理屈はわかるのだけど、そもそも自信を持ったことがない人にとってはどちらにしろハードルが高いんですよね。
というか根拠のある自信ですら難しいのに、「根拠がない自信を目指せ」とか言われたらもはや何をしたらいいかすらわからない。
今回はそんな“根拠の無い自信”の正体について科学的な視点から解説し、最後はそれを身につける方法についてお話しようと思います。
目次
「自信」とはそもそも何なのか?
そもそも自信とは、どういうものなのか?
大きくわけると以下の2つに分類できます。
・能力に対する自信
・存在に対する自信
そして、この2種類の自信がさらに根拠があるかないか?によって2つの状態に分けられます。
“能力に対する自信”の中で根拠がある場合をパターンA、根拠がない場合をパターンBとし、
“存在に対する自信”の中で根拠がある場合をパターンC、根拠がない場合をパターンDとします。
このA〜Dまでのパターンを見ていくことで、
根拠のある自信とない自信の違いがわかってきます。
能力に対する自信(根拠あり:A)
「〇〇ができたから自分には高い能力がある」
といったように、具体的な根拠を基に自分の能力に対して自信を持っている状態です。
例:〇〇大学出身だから、〇〇の資格を持っているから、大企業に勤めているから、〇〇の賞を取ったから…
ただし、根拠に基づいているがゆえに、自分よりスゴい根拠を持っている人と出会ったり、その根拠が失われるようなことがあったりすると、割と簡単に失われてしまう脆い自信でもあります。
能力に対する自信(根拠なし:B)
「自分はやればけっこうできる」
という感覚を何に対しても抱いている状態です。
パターンAとは違い、「自分には〇〇があるから…」というような形で具体的な根拠を意識しているわけではありません。
そのため、何があっても揺らぐことのない安定感があるのが、根拠なしの“能力に対する自信”です。
存在に対する自信(根拠あり:C)
「自分は役に立つから存在していていい」
「自分には彼氏/彼女がいるから大丈夫だ」
「友達が〇〇人いるから自分は人気者だ」
といったように、具体的な根拠によって「自分の存在には価値がある」と感じている状態です。
こちらもパターンAと同じく、根拠に基づいているということ自体が弱点になります。
役に立てている実感がないときに急激に不安になってしまったり、恋人や友達などひとりの人に強く執着してしまったりと、問題も起きやすいのがこちらのパターンCです。
存在に対する自信(根拠なし:D)
「自分は愛されている」
「自分は受け入れられている」
「自分はこの世に存在していていい」
と無条件に思えている状態です。
何かで役に立とうが立つまいが、誰か味方がいようがいまいが、関係なく元から自分には存在価値があると思えている。だからこそ、他人の態度や言動に振り回されることなく、いつでもどこでも誰の前でもありのままの自分でいられます。
メンタルの安定性という点において、非常に盤石なのがこのパターンDです。
以上のことからわかるように、基本的には根拠のない自信のほうが望ましいです。ただ、「根拠のある自信は持ってはいけない」というわけではありません。根拠のない自信を手に入れるまでの“つなぎ”くらいに捉えておけばいいと個人的には思います。
この次の項目で「自信がない」 ということのデメリットを知ると、 「どんな自信であれ、ないよりはあったほうがいい」と思えるでしょう。
「自信がない」とどんなデメリットがあるのか?
自信がないことに伴う辛さは説明するまでもないことだと思いますが、その辛さがどんな心理現象へと発展していくのか?ということを知ると、意外なつながりが見えてきます。
なので、能力に対する自信がないパターンと存在に対する自信がないパターンで、それぞれにどんなデメリットがあるのか見ていきましょう。
自信がないことのデメリット1:行動力がなくなる
まず自分の能力に自信がない場合、
「自分には無理」
「自分にはできっこない」
という思い込みが根本にあるので、
困難な課題と直面したときに急にモチベーションが下がったり、始める前からあきらめてしまったりという風に
がんばること、努力することに対する苦手意識を抱きやすくなります。
その結果、行動力がなくなるため、「やらなきゃいけないのにやる気が出ない」といった悩みを抱えがちです。
実際、僕自身も中学高校の6年間、勉強へのやる気が全く出なかった経験があります。その当時は「がんばったってどうせ無駄」「自分には勉強なんかできるようになるわけがない」という、能力に対する自信ゼロの状態でした。
「自分なんかにはできっこない」という無力感が、モチベーションを極限まで下げてしまっていたわけです。
でも逆に、能力に対する自信を養うアプローチをすることで、少しずつ行動することができるようになっていき、1浪はしましたが何とか志望校に合格することができました。
ようするに、自信の問題を解決することは、行動力やモチベーションの悩みを解決することにもつながっているということです。
自信がないことのデメリット2:他人が怖くなる
次に、自分の存在価値への自信がない場合、
他者と関わるとき、
コミュニケーションをとるときに、
「自分なんかが話しかけても相手はつまらないんじゃないか?」
「自分がここにいてはいけないんじゃないか?」
という思いや不安が土台にあるので、
他者に話しかけることをためらったり、
新しい環境になじめなかったり、
人前で発言するのを避けるようになる、
などなど
主に人間関係における苦手意識を抱くようになります。
また、「自分の意見や本心には価値がない」と内心思っているため、他者に自分の意見を主張したり、本音を打ち明けたりすることを苦手に感じます。
そのことから、他人から都合よく扱われたり、「良い人だけど何を考えているかわからない」なんて思われてしまったりと、変に誤解をされることも少なくありません。
人間関係やコミュニケーションにおける悩みというものはどれも、「素の自分、ありのままの自分を受け入れてもらえているか否か」が最大の争点です。
「職場や学校での嫌がらせ」と言った大きな問題から、「恋人が自分の気持ちをわかってくれない」といった割と身近な問題まで、すべて自分の存在価値を認めてもらえていないという辛さなわけです。
なので、存在価値に対する自信があるかないかで人間関係の自由度は大きく変わります。これが手に入ると本当に人生が楽になりますよ。
根拠のない自信を持つためのトレーニング方法
さて、それではいよいよ根拠のない自信のつけ方についてのお話です。
能力に対する自信と存在に対する自信、それぞれについて解説しますが、共通するのはどちらも体験が重要だということ。
「頭で理解する」ということだったり、「言葉で自分に言い聞かせる」ということではダメなんです。
根拠はないけどできる気がする。
根拠はないけど嫌われない気がする。
というのは、脳の中に経験的なデータが蓄積されている状態だからです。
なので、今回ご紹介するトレーニングはどちらも、経験則の蓄積というものを目的としています。
順番に見ていきましょう。
無根拠な自信をつけるトレーニング(能力編)
能力に対する自信については、
「やってみたらできた」という体験
を積み重ねることがトレーニングになります。
「やる前は難しそうに思えていたけど、実際に取り組んでみたらできた」という経験を何度も繰り返していると、次第に「自分って、やる前はビビってたとしても、やったら結局できちゃうよね」という経験則が出来上がるのです。
その経験則を持っている状態というのが、
根拠のない自信がある状態なわけです。
具体的に〇〇ができるから、〇〇の資格があるから、という理由があるわけではなく、やってみたらできた経験則がある。
ここを目指して、ほんの小さなことでいいので成功体験を積んでみてください。
仕事や勉強なんて立派なものである必要はありません。
ゲームをハードモードでクリアした、とか
カラオケで90点取れるようになった、とか
毎日落書きしてたら地味に上手くなってきた、とか
そういうことでいいんです。
「できるようになったこと」が立派であるかどうかは、
脳にとっては関係ないことなのですから。
無根拠な自信をつけるトレーニング(人間関係編)
存在に対する自信を根拠なく持つためには、
「不完全な自分でも大丈夫だった」
という体験を蓄積することが大切です。
あえて“価値ある要素”を出さないように
かっこつけないように
自分を大きく見せないように意識して
なるべくありのままの自分を、
あるいは自分の弱点や失敗談を
あえて、ちょい出ししてみる。
すると、
「完璧じゃない自分」や
「かっこわるい自分」、
「弱い自分」を見せても
別に嫌われたりしなかった。
意外にも拒絶されたりしなかった。
といった経験を積むことができるのです。
小さなことでもそういった経験を積んでいくと、
徐々に
自信の根拠になりそうな価値ある要素なんていらない
完璧じゃなくていいしかっこわるくてもいい
何も持ってなくても自分は人に受け入れてもらえる
という安心感が培われていきます。
そして、
不完全な自分でも平気だと確信できたときに何にも依存する必要のない無根拠な自信ができあがるわけです。
注意:安心できる場所でトレーニングすべし
ただし、これらのトレーニングには一つ注意点があります。
なるべく、いや絶対に、
「この人なら否定してこないだろうな」
という信頼のおける人の前でのみ行ってください。
あるいは
「他人を否定する習慣が根付いていない」
集団、コミュニティのなかで行ってください。
不完全さを見せたとたんに否定してくるような人の前でこの練習をやってしまうと、格好の餌食にされてしまうので、育ちはじめた自信の芽も秒速で摘み取られてしまいます。
元々強くない自信をこれから育てようという話ですから、
限りなく安全なところで大事に育てていけばいいのです。
安全さえ確保できていれば、やればやるほど身につきます。
ぜひ今日から、できることから始めてみてくださいね!
まとめ
・「自信がない」とは自分の存在や能力の価値を信じられていない状態
・「根拠のある自信」より「根拠のない自信」のほうが強い
・「根拠のある自信」は根拠が脅かされると揺らぐ不安定なもの
・「根拠のない自信」は「何も持ってなくても自分は大丈夫」という感覚
・経験則を蓄積するトレーニングをしよう(安全な場所で)
ということで今回は以上です。
あなたの自信を育てる一助になれば幸いです!
最後までお読みいただきありがとうございました!
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